「TOEICのリーディングパートが時間内に解き終わらない・・・」

そんな悩みを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。 かく言う私、Keiもかつてはリーディングパートを10問残しでタイムアップ・・・という時代がありました。

それが、 今では落ち着いて全問を解き終え、 全体の見直しまで問題なく済ませることができます。 今後、 TOEICがどんなにその形を変えたとしても、 時間が足りないという事態に陥ることはないでしょう。

では、 どうすれば揺るぎない読解力を身につけることができるのでしょうか。

今回の記事では、 TOEICのリーディングパートに求められている能力、 そして読解力向上に役立つ日々の習慣について語ります。

先にお伝えしますが、 今回ご紹介するのはTOEIC本番ですぐに使えるテクニックではなく、 毎日の学習に役立てていただきたい習慣です。 そのため、 一朝一夕に結果に結びつくわけではありませんが、 継続することで読解能力の向上に大いに役立つことでしょう。

それではいきましょう!

TOEICのリーディングパートで求められている能力とは

TOEICのリーディングパートについては、多くの受験者がその試験時間の短さを指摘します。

TOEICの試験時間は75分。 各Partごとの理想的な時間配分は一般的に

Part5(30問): 10分 (1問あたり平均約20秒)
Part6(16問): 10分 (1問あたり平均約37秒)
Part7(54問): 55分 (1問あたり平均約61秒)

程度が目安と言われます。 ここに見直しを含めるとなると、 更に充てられる時間は短くなるでしょう。

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注意
上記はあくまで全問を解き終える場合に目安となるタイムであり、 全ての受験者に求められるものではありません。
解き終えることに執着し、 読むことに集中できないのであれば、 それこそ本末転倒です。 TOEIC初心者・中級者は、 早く読むよりも問題を正確に解く力を身につけましょう。 まずは正答率を高める方が、 長期的に見て大きな伸びが期待できます。
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TOEIC経験者なら既にお分かりのことかと思いますが、 リーディングパートでは少しでも回答に手間取ると、 上に挙げた目安の時間を簡単に超過してしまいます。 特に注意が必要なのは、 最も多い問題数が割り当てられている Part7。
リーディングパート攻略 = Part7の攻略と言っても過言ではありません。

TOEICには英検一級で出題されるような難単語は出題されないことから 「時間さえかければ全部解けるのに・・・」 という受験者の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。  

しかしながら、 TOEICのリーディングパートで求められているのは純粋な英語力だけではありません。 設定されている解答時間が短いことからも分かる通り、 真に求められているのはいかに素早く正解の根拠を導き出すかという、 「情報処理の能力」 なのです。

TOEICリーディングパートの情報処理力を向上させる日々の習慣

さて、 ここからはいよいよTOEICのリーディングパート、 特にPart7の情報処理能力を高めるための習慣について述べていきたいと思います。 今回ご紹介する習慣は次の2つ。

「自身の読解スピードを正確に把握する」

「英文読解に没頭する時間を持つ」


これからそれぞれ順番にご説明していきます。

自身の読解スピードを正確に把握する

ここで一つ質問です。

あなたは1分間に平均して何単語読み下すことができますか?

おそらく、この質問に即答できる人は少ないと思います。 これまで数えたこともなければ、 数えようと思ったことすらない、 という方がほとんどではないでしょうか。

それ自体は全く悪いことではありません。
しかしながら、 TOEICのリーディングパートに自信が無いという方は、 これを機に自分の読解スピードを把握しておくことをおすすめします。

読解スピードを把握しておくことで、 次の3つの効果が見込めます。

1. 自分の実力を定量的に測ることができる

2. 勉強方法と学習スケジュールの策定・見直しに役立つ。

3. 学習のモチベーションが上がる

これら3つの効果については、 ダイエットを例に出すとわかりやすいです。



ダイエットを始めるとき、 最初にやるべきことは何でしょうか。 とりあえず運動してみる? 目標体重を決める? 違います。

まず第一にやるべきこと、 それは体重計に乗ること、 です。

ただ 「自分は太っている」 というだけの認識だと、 痩せるためにこれから何をどうしたらいいのか分かりません。
まずは体重を測り、 「自分の今の立ち位置」 を数字ではっきりさせるのですそうすることではじめて、 目標とする体重とこれからどうやって痩せていくかの作戦やスケジュールを考えることができるようになります。

更に、 定期的に体重測定して数字が減少しているのが分かれば、 「もっと頑張ろう!」 とモチベーションもアップ
します。 さらに、 体重の増減を日々チェックすることで、 今のやり方が正しいかどうかの判断ができるようにもなります

リーディングも同じ。 自分の読解スピードのレベルをしっかり把握しておくことは、 学習戦略の組み立てと見直し、 そしてモチベーションの向上に大いに役立つのです。

読解スピードの計測方法について

さて、 それでは読解スピードの計測の仕方について解説していきます。

冒頭で 「1分間に平均何単語読み下すことができるか?」 と質問しましたね。 この 「1分あたりの読み下し単語数」 を一般的に “WPM” (= Words Per Minute) と呼びます

目安として、 英語ネイティブのWPM平均は、200〜250WPMと言われています。 一方で、 日本人のWPMの平均は80〜100WPM。 TOEICのPart7で必要なWPMは、150〜200WPMとされています。

ちなみに、 私の場合は平均して240WPM。 経験上、 200WPM以上がTOEICのリーディングパートを余裕を持って解き終えられるレベルと分析しています。 (個人的な見解です。 実際には問題の難易度などの要素が関わってきますので、 あくまで一つの目安とお考えください)。

さて、 肝心のWPMの計測方法ですが、 ここではTOEICの模試を使った簡単なやり方をご紹介します。

まずご用意いただくのはお手持ちのTOEIC模試とスマホ。

スマホのストップウォッチのアプリを立ち上げ、 TOEIC模試のPart7の問題を開きます。 どの問題でも構いませんが、 より正確に計測するため、 できれば初見の問題を選択するのがおすすめです。

心の準備が整ったら、 ストップウォッチをオンにすると同時に、 読解スタート。 解答はせず、 ページの最後まで文章を読み進めます。 このとき、 読み飛ばしたり、 単語を目で追うだけの 「読んだフリ」 をするのは全く意味がないので絶対に避けてください。 いつも通りのペースで、 一文ずつしっかりと文章の意味を頭に入れながら読み進めましょう。

読み終わった時点でストップウォッチを止め、 読解した単語数を数えます。 この工程はちょっと手間ですが、 頑張って!
(模試によっては解説に各題の総単語数の記載があるものも。 その場合は数える手間がかかりません。)

読解した単語数を読解にかかった時間(秒)で割り、 それに60を掛けるとWPMが算出されます。

例) 120語を30秒で読解した場合のWPM:
120÷40×60= 180WPM


いかがでしたか?

上でも述べましたが、 日本人のWPMの平均は80〜100WPM。 TOEICのPart7で必要なWPMは、150〜200WPMとされています。 200WPM以上ならTOEICのリーディングパートを余裕を持って解き終えられるレベルと見てよいかと思います。

計測したWPMは計測した日時、 使用した教材名と一緒にメモしておきましょう。 更に、 WPMを定期的に測定・記録する習慣をつけることをおすすめします。 WPMを習慣的にレコーディングして読解スピードの変化を把握することで、 目標とする数値までの距離、そして自身の成長のペースが明らかになり、 モチベーションの向上につながります。

英文読解に 「没頭する」 時間を持つ

ここまではWPMを計測することの有用性について述べてきましたが、 次に読解スピードを上げるための具体的な方法について述べていきたいと思います。

とその前に、 一つお伝えしたいことがあります。

それはTOEICのリーディングパートを解き終わらないという方の多くは、 実は読むトレーニングそのものが不足しているということ。

これまで延数百人のTOEIC受験を目的とするクライアント様と直接関わらせていただいていますが、 読解力が高い人とそうでない人には明確な違いが見られます。 それはズバリ、 英文を読む習慣があるかどうか、です。

読解力に課題を感じていらっしゃる方のほぼ全てが、 日常的に英文を読む時間を持たれていらっしゃいません。 あるとしても、 一日30分未満、 TOEICのリーディングパートを少し解いて終わり、 という方が大半です。

対してリーディングパートを難なく解き終えることができる方は、 皆さん総じて英文を読む習慣が身についていらっしゃいます。 英語でニュースを読んで情報収集する、 洋書を読む、 TOEICの問題集に取り組むなどなど、 毎日の生活の中に英語を読むという行動が自然と組み込まれているのです。

このことから、 読解スピードを向上する最善の方法は 英文を読むことに「没頭する」 時間を持つこと であると、 私は結論付けています。

ここでの 「没頭する」 とは、 まとまった分量の英文を日本語を介さず、 集中して読み下すことを指しています。
この日本語を介さずというのがポイントで、 多くの人は英文を読んで文意が取れないとすぐに日本語訳が気になって、 ネットなどで調べてしまいます。 不明なものをそのままにしないのは大切な習慣ではあるのですが、 読解力を上げるためには、 調べたい気持ちをぐっと堪えて、 そのまま読み進めるべきです。 不明な箇所を振り返るのは一通り読み終えてからでも遅くありませんから。

「日本語に訳さずに英文を読むなんてハードルが高い・・・」

と思われる方もいらっしゃるかと思います。

そのお気持ち、 よく分かります。 TOEICに限らず、 英文を読むという行為には常にストレスがかかりますから。 これまで見たことのない単語、 いつ終わるとも知れない長文、 視界に収まりきらない文量、、、 モヤモヤを感じながら黙々と読み進めるのは、 正直言ってキツいです。 ですが、 読解力向上はこのストレスを乗り越えた先にこそあります。

英文を読む習慣が無いという方は、 まずは一回5分でいいので日本語を介さず英語を読み進めてみてください。 TOEICの問題集でもいいですし、 それでは気分が乗らないという方は、 ネットのニュースサイトでも構いません。 例えば The Japan TImes (https://www.japantimes.co.jp/)では日本国内のニュースを中心に、 毎日英語で配信されています。 テレビなどで報道されている既知のニュースを英語で読むことができるので、 それほどストレスを感じることなく英文に触れることができるでしょう。

スマホで英語を読みたい、という方にはスマホアプリの “SmartNews” もよいでしょう。 言語を英語に設定しておけば、 海外の最新ニュースが原文で配信されるため、 英語力に自信がある方、 国際情勢に関心の高い人には特におすすめです。

英文に没頭する機会は自分でいくらでも作れます。 これらの優れたサービスを使わない手はありません。 ぜひ活用してみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 今回の記事ではTOEICのリーディングパートに求められている能力、WPMを定期的に計測することの意義、 そして英文読解に没頭する時間を持つことの重要性についてお伝えしてきました。

自分自身を知ることは、 成長には欠かせない要素です。 ただ闇雲に問題を解くのではなく、 自分を客観視するための時間を定期的に設けるようにしましょう。 そして、 英文読解に没頭する習慣をを日々の生活に取り入れることで、 英文を読むストレスに対する耐性をつけ、 TOEICのリーディングパートを解き終える集中力を手に入れましょう。

また別の記事で、 TOEIC本番に活用できる、 より実践的なテクニックを扱う予定ですので、 どうぞご期待ください!

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